この結末には、きっと泣く―「医龍 16巻」
この感動を、どう伝えればよいか。手に汗握るストーリーと美しい作画で、いま最高に面白いと断言できる医療マンガの16巻。
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医龍 16―Team Medical Dragon (16) (ビッグコミックス) 著者:乃木坂 太郎,永井 明 |
今まで幾度となく難手術を奇跡的な腕で成功させてきた天才外科医の朝田だが、今回の緊急手術では輸血用の血液が足りないという絶体絶命の窮地に陥る。そこで、朝田に反発しつつもあこがれてきた研修医の伊集院くんが、嵐の中へと輸血用血液を受け取りに走る!
可能な限りの手を尽くしつつ彼の帰還を待つスタッフたち。そんな中、人の命を預かる医療現場で研修医のような未熟な医者を「信頼する」ことについて朝田が語る場面がある。
朝田「思い出せよ。(伊集院が)成長したから信じたんじゃない」
「成長する事を、信じたんだ」 ←ここがまずシビれる
「俺は、いつまでもここにはいない」 …
「平凡で未熟な医者に期待することを忘れて―」
「誰にバトンを渡していくんだ!?」
アツい上に深い!名シーン。
いくつもの困難がふりかかり、アクシデントにも見舞われ、やがて絶望的な状況が訪れる。その中で生まれた「人の絆」「信頼」がもたらす結末とはいかなるものか?
詳しくは書かないけれど、「信じ、努力すること」にまつわる冷徹な現実をこれでもかと突きつけつつ、なおそうした姿勢を肯定できるような得がたい喜びを最後に配するという奇跡のストーリーテリングに、ただただ感動、感涙だった。
この巻のラスト、伊集院に残された仕事とは何だろうか?やはりあれだろうか?続きが待ち遠しい。
[MEMO]------------------------------
*医者の育成は難題だ。
前に読んだ久坂部羊「大学病院のウラは墓場」でも、2004年12月に発覚した、東京医大病院での心臓手術連続死亡事件について言及があった。この事件では、執刀医の上司にあたる教授が「弁膜症手術の経験を重ねさせてやろうと思った。言葉としては悪いが、トレーニングとして必要だった」と言ってしまって、非難の声を浴びた。
だが、医者である久坂部氏は率直に言う。
私もこの発言には大いに問題があると思う。ただしそれは、患者をトレーニングの材料にしたからではなく、そのようなほんとうのことを迂闊にしゃべってしまったからである。
そうした「トレーニング」を積まないと、のちに何人もの命を救えるような医者は育たないのだ。
こうした人材育成と、医療過誤、医療訴訟、医療政策は複雑に絡みあっていて、とても唯一解を出せるような問題じゃない。ただ、今よりももっと高度な人体シュミレーターを開発して、路上に出る前の所内教習みたいな訓練を、様々なケースでやれるようにはなって欲しい。
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