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2008年3月29日 (土)

うらやま楽しい現代版「まんが道」―「アオイホノオ 1巻」

 1980年代。漫画業界全体が甘くなっていた(?)頃… 

 大阪の芸術系大学に進学して、いつかはマンガ業界で名を上げてやろうと燃えまくっている若者がいた。名は焔燃(ホノオ・モユル)。
 ほとばしるマンガ・アニメ・特撮への情熱と、いつかはデビューできることを疑わない並々ならぬ自信
 でも彼は絵が下手なのだった(笑)。漫画原稿の枠線の引き方さえ実は知らない。果たして彼は漫画家になることができるのか?

アオイホノオ 1 (1) (ヤングサンデーコミックス) アオイホノオ 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

著者:島本 和彦
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 これは面白いです。実に読んでいて楽しい。
 プラス、主人公のことをうらやましいと思う気持ちが湧いてきます。

 いわば「うらやま楽しい」マンガです。

◆ 80年代を知る

 まず楽しいのは、80年代のアニメやマンガシーンがどういった状況にあったのかが、主人公の目、ということは島本和彦フィルターを通してつぶさに描かれること。
 主人公は裏表紙の学生証によると、昭和36年4月26日生まれ。私とはひとまわりくらい違うってことになります。私が物心ついたときにはすでに一線級であったあだち充、高橋留美子、細野不二彦といった漫画家たちが、雑誌デビューしたての頃にどんな待遇を受け、どんな受け止められ方をしていたのか。その辺りのよく知らなかった事情がわかるのが興味深いです。

 そしてこれらの漫画家に対して、主人公がそれはもうカンペキな「上から目線」で批評をします(笑)。「俺だけは認めてやろう!!」と、若かりしあだち充や高橋留美子に言い放ってほくそえんでるわけですね。いや、もちろん主人公はこうした人たちのマンガが好きで言ってるんですよ。

 なんというか、漫画家への愛が高ぶりまくり、それゆえに独善的な態度に陥ってるわけです(身に覚えがありすぎる(笑))。

 私はそもそも作者の島本和彦のファンですし、あだち充、高橋留美子、細野不二彦も自分の漫画史を振り返って絶対になくてはならない存在です。いわば、好きな人が好きな人のことをほめているという状態。これはうれしいものですよね。

◆ 青年立志もの

 この作品のもうひとつの魅力は、まだ何者でもない若者が、もがいたりあがいたりしながら身を立てようという様を、笑いながらも期待を込めて見守れるというところです。何せ、現実の焔燃(島本和彦)は、今や立派な漫画家です。ということは、この後、デビューへの階段を登り、読み切りの掲載、連載の獲得…と話は進んでいくはずです。

 いわば現代版「まんが道」

 藤子不二雄A「まんが道」は本当に好きな作品なので、またああいった話が読めるかと思うとそれだけでワクワクします。

 しかも今のところ、主人公はマンガのテクニック的にはまだまだのよう。同期の庵野秀明の才能(パラパラ漫画とか最高にうまくてビビります)、先輩(なのかどうかよくわからない)の矢野健太郎の凄さにかなり圧倒されてます。
 ここから、どう将来への道が拓けるのか。

 さらには、天然スレンダーお姉さんと、元気はつらつスポーツ少女との、恋のような恋でないようなウラヤマしい関係もひそかに目が離せないです。愛…しりそめるか?(笑)

◆ 「うらやま楽しい」

 …ということで、このマンガ、全体的に読んでいて楽しいだけでなく、「いいなあ」「羨ましいなあ」という気持ちが湧いてきます。

 これはおそらく、マンガが好きで青春を送った者なら誰もが一度は憧れる「漫画家」への道をひた走っている主人公の姿がまぶしいんですね。
 マンガ好きなら、漫画家になりたいと思う。でも、努力してもきっとなれない。そう思うから「マンガ道」を走らないわけです。漫画家になれるって自分の未来を知ってたら、マンガ好きは100人中100人が「マンガ道」を走りますよ。言い切るなあ。

 ところがこの作品の主人公はそこをわき目もふらずに走ってる。まあ多少悩むこともあるのですが、それも含めて実に楽しそう。恋までついてくる。

 しかも、私たちは、この主人公が最終的に漫画家になれるという「未来」を知っているのです。彼の努力が報われることを。

 それが、このマンガが「うらやま楽しい」ことの源泉でしょう。

愛…しりそめし頃に…―満賀道雄の青春 (1) (Big comics special) Book 愛…しりそめし頃に…―満賀道雄の青春 (1) (Big comics special)

著者:藤子 不二雄A
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