美容・コスメ

2007年7月 7日 (土)

太るとタイヘン、やせるのタイヘン―「人はなぜ太るのか」

 副題「肥満を科学する」に偽りなし。どうして太るのか、太ったらどうなるのか、そしてどうすればやせられるのかについて、「学術論文と同じくらい新しく、間違いがなく、役にたつ情報を、わかりやすくまとめた」(あとがきより)本だ。

 効果の疑わしいダイエット本に熱中する前に、これを読むといい。

人はなぜ太るのか―肥満を科学する 人はなぜ太るのか―肥満を科学する

著者:岡田 正彦
販売元:岩波書店
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 本書の前半は、ひとことで言って、「太るとタイヘン」という話だ。肥満が健康に与える悪影響がこれでもかと並べられ、最近めっきり体重の増えた私は、軽く絶望する(笑)。以下、ごく一部を簡単に並べると…

  • 脂肪酸には活性酸素によって酸化されやすいタイプがある。酸化された脂肪酸は他の脂肪酸を攻撃し始める。やがて遺伝子が傷つき、発がんや動脈硬化などが進行する。
  • 心臓自身が動くための血液を供給する冠状動脈は非常に細い血管で、コレステロールがたまりやすい。そのため、少し収縮しただけで血流が途絶え、その状態が続くと心臓の筋肉が酸素不足に陥り、心筋梗塞につながる。
  • 血管内壁に付着したコレステロールのかたまりが、何かの拍子にはがれると、血流に乗って脳に届き、脳血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こす。
  • 脂肪細胞はインシュリンのはたらきをブロックする物質をいくつか分泌しており、「インシュリンが足りない」という誤信号を発生させる。それにより、すい臓で過剰にインシュリンが作られる。一生のうちに作ることのできるインシュリン量は決まっているので、インシュリンの枯渇による糖尿病が発病しやすくなる。
  • 軟骨は再生しない。体重が重いと軟骨が摩耗し、変形性膝関節症で将来困る。

 直ちにやせさせてくれ!!!!(笑)

 …ということで、本書の残りの部分はいかに科学的にやせるかについて書かれているので、ワラにもすがる思いでそれを読むのだが、これがひとことで要約すると、「やせるのタイヘン」となる。少しだけ紹介すると…

  • たんぱく質は体内で余ると尿素として体外に排出されるので、摂りすぎても太らない。脂肪は体内で脂肪酸となり、余れば中性脂肪として皮下脂肪、内臓脂肪となる。炭水化物は体内で糖分になり、余ると脂肪酸に変換されるため、やはり肥満の原因となる。
  • 炭水化物を摂取すると、血糖値が上昇するが、これが短時間で急激に起こる食品ほど太りやすく、かつ糖尿病や心筋梗塞になりやすい。血糖値の上昇の程度を表すグリセミック指数の低い食品を中心に摂るべし。
  • 運動だけで体重を減らすのは、非常に長い時間がかかる。しかし無理な食事制限によるダイエットはほぼ成功しない。やはり、中程度のウォーキングなどを続けるのがよい。水泳もいい。水中では体温を保つために体内のエネルギーを余計に燃焼させるので、運動量以上の効果が期待できる。
  • ダイエット薬やダイエットサプリは、総じて効果が疑わしく、副作用があるので危険。

 実践的なメニューや細かいコツも載っているので、ぜひ本書に直接あたってほしい。他にも、思い込みというウロコがボロボロはがれるような話がいくつもある。

 本書は、肥満は病気や長生きと関係がない、という意見も紹介しているので、その意味で公平さも備えている。要は、各自がこれを読んで、肥満による健康上のリスクをどれだけ深刻にとらえるか、だろう。深刻だと思った人が、このままではイカンって気にになるということだ。

 ただ、本書を読もうという人の態度はほぼ決まっているのではないか。

 科学研究を背後で支えているのは、確率的思考である。してみると、肥満のことを科学的に知りたいと思う人は、健康上のリスクが確率的に高まるとなれば、もう深刻にならざるを得ない。本書は、リスクの数値が示されていない部分もたくさんあるが、警告としては申し分ない。

 ということで、私は本書を足上げ運動しながら読んだ次第です(笑)。

[MEMO]------------------------------

*筆者の臨床経験では、中性脂肪、血糖、血圧の検査値や心電の異常などは、やせるだけで治って薬を服用する必要がなかったという人が少なくないらしい。

*動物に与えると食欲が落ち、やせてしまうという謎の物質レプチン。ネズミを使った最初の実験には驚かされるが、遺伝子異常のある子どもへの注射結果は興味深い。この物質が今後どのような展開を見せるのか追ってみよう。

*むかし低インシュリンダイエットの本を読んで少し実践しているが、あれは効いているのだろうか…。本書の内容と照らし合わせれば、科学的根拠には問題なさそうだが。むしろ、実践してなかったらもっと悪くなってたのだろうか(笑)。

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